公開日:2023/04/27
最終更新日:2023/04/27

勤怠管理で入退室管理は必須?目的別で見るおすすめの実施方法

入退室管理の必要性

勤怠管理を行う際に、入退室管理も行う必要があるかどうか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
入退室管理は、労働基準法では必須とされておらず、労働時間の把握方法はタイムカードやパソコン打刻などで対応可能とされています。
ただし、上場を目指している・サービス残業やカラ残業の防止をしたいのであれば、入退室管理は導入している方が安心です。
本記事では、入退室管理について、管理方法や導入時の注意点などを具体的に解説していきます。

 

勤怠管理において入退室管理は必須?

勤怠管理において、入退室管理は義務付けられていませんが、客観的な記録によって労働時間を把握することが求められています。
労働安全衛生法でも、原則として勤怠管理はタイムカードやパソコン打刻、労働時間を管理する事業者による客観的な管理と書かれています。
そのため、必ずしも入退室管理を導入しなければいけない、といった義務はなく、正しく打刻できる環境さえ構築されていれば問題ありません。
ただし、入退室管理を実施したほうが労働時間を正確に把握でき、サービス残業やカラ残業を防止できるようになります。

—【厚生労働省】労働安全衛生法等の解釈等について—
事業者が労働時間の状況を把握する方法としては、原則として、タ
イムカード、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間(ロ
グインからログアウトまでの時間)の記録、事業者(事業者から労働
時間の状況を管理する権限を委譲された者を含む。)の現認等の客観的
な記録により、労働者の労働日ごとの出退勤時刻や入退室時刻の記録
等を把握しなければならない。

引用元:第2 面接指導等(労働安全衛生法令関係)」の問9

 

入退室管理は実施するのが望ましい

入退室管理は義務ではありませんが、客観的な労働時間の記録を把握するなら、導入するのが望ましいでしょう。
たとえば、タイムカードによる自己申告制での勤怠管理だと、タイムカード打刻後にサービス残業できてしまいます。
この場合、客観的な記録ではなく自己申告となってしまうので、正しい勤怠管理ができているとはいえません。
もし、従業員が体調を崩して勤怠管理の調査が行われた場合、適切な勤怠管理の義務を果たしているとはいえないため処罰される可能性があります。

 

勤怠管理とは別で入退室管理が必要になる場面とは?

時計と悩むビジネスマン

入退室管理は必須ではありませんが、上場を目指したいのであれば、必要になります。
さらに、サービス残業やカラ残業といった不正打刻を防ぐことができ、入退室管理の導入は企業においてもメリットが大きいです。
また、誰がどのタイミングで入出したかも把握できるので、セキュリティ対策の強化としても有効となります。
そのため、勤怠管理だけでなく入退室管理も行うほうが、企業としてはより正確で安心できる環境を構築できます。

 

①上場企業や上場を目指している場合

上場企業、または上場を目指している企業の場合は、正確な労働時間を管理するために、入退室管理の導入が必要になります。
上場を目指すのであれば、内部統制が取れていること、リスク管理ができていることが重要となるので、入退室管理を行なわなければなりません。
また、労働基準法を遵守した労働時間の記録も必要となるため、入退室管理があれば正確に記録できます。
勤怠管理システムと入退室管理システムを連携させて、打刻と入退室の差異を自動で把握できるようにする方法が望ましいです。

 

②サービス残業を防止する場合

勤怠管理だけでは、サービス残業が生まれてしまう可能性があります。
タイムカード打刻を例にすると、打刻後に業務に戻れてしまうので、従業員は容易にサービス残業を行えます。
さらに、上司によるサービス残業の強制といった問題も入退室管理があれば未然に防ぐことが可能です。

サービス残業は法律違反となるので、労働基準法37条に則り懲役6ヶ月以下もしくは30万円以下の罰金に科せられる可能性があります。
悪質な場合には、ニュースにもなり、会社の信頼が失われてしまう可能性もあるため、サービス残業ができない管理体制を構築することが大切です。

 

③カラ残業を防止する場合

入退室管理を行うことで、従業員が業務は終わっているのに私用を済ませてから退勤する「カラ残業」を防止できます。
カラ残業とは、業務が終了しているにも関わらず、業務に関係ないことをした後に、退勤することです。
具体的には、同僚との談笑や喫煙などで時間を潰し、その後退勤の打刻をした場合、企業は残業代を支払うことになります。
しかし、実際には業務を行っていないため、カラ残業が容易に行える環境は企業として深刻な問題になります。
そのため、入退室管理を導入し、パソコンの操作ログと退出時刻の差異を把握するなどの管理が必要です。

 

目的別で見るおすすめの入退室管理方法

望遠鏡を覗くビジネスマン

入退室管理を導入する場合、導入したい目的によって機能が異なるので、課題の洗い出しから行う必要があります。
上場企業や上場を目指している場合は、厳密な管理が必要となるため、有料の入退室管理システムに加えて、勤怠管理システムと連携できるものが望ましいです。
一方で、サービス残業やカラ残業を防止するのを目的としている場合は、入退室管理以外の無料ツールで解決できる場合もあります。
まずは、なぜ入退室管理を導入したいのか、目的はなにがあるのかを明確にしてから選ぶようにしましょう。

 

労働時間を正確に把握するための入退室管理

●ICカード
ICカードをードリーダーにタッチしてドアが開閉する仕組みで、入退室管理も記録可能です。想定導入費用は0~5万円、ICカードは1枚1,000~5,000円程度で、別途サーバー代が毎月かかります。
●生体認証
生体認証には静脈・指紋・顔認証などがあり、あらかじめ登録している従業員の情報を認識してドアを開閉します。クラウド型では、想定導入費用は、端末代と工事費用込みで50~150万円前後です。
●スマートフォンアプリ
スマートフォンにダウンロードしたアプリを使って、ドアに設置されたリーダーにかざしてドアを開閉する仕組みです。想定導入費用は工事費用とリーダー代がかかりますが、0~5万円程度で導入できます。

労働時間を厳密に管理するためには、有料の入退室管理システムを導入し、ドアにリーダーを設置して手順を踏まないとドアを開閉できないようにするのが効果的です。
指定した認証方法で解錠されたときに、誰がいつ入退室したかの情報がサーバーに送信され、管理者が把握できるようになります。
認証方式には主に、ICカードや生体認証、スマートフォンアプリなどがあり、会社の規模や予算によって選べます。
ICカードや生体認証だとスムーズに入室でき、スマートフォンアプリは導入費用が安いといった特徴があります。

 

サービス残業やカラ残業を防止するためのツール

●PCに初期から搭載されているログ取得アプリを利用する
Windowsの場合は「イベントビューア」などのアプリを利用することで、PCの起動やシャットダウンした時間を把握できます。初期から搭載されているアプリのため、導入コストがかかりません。
●有料でPCの操作ログを取得するツールを導入する
有料のPCログ取得ツールを導入することで、PCの起動やシャットダウンの時間はもちろん、操作ログも取得できます。
導入コストは1企業につき1~10万円程度かかりますが、テレワークを実施している企業の場合にも、業務を可視化する目的で役立ちます。
●ドアに施錠する入退室管理を導入する
PCを使用しないサービス業や現場仕事の場合は、操作ログを取得するツールが利用できないため、ドアに取り付けて施錠するタイプの入退室管理を導入するのが望ましいです。導入コストはドア1枚あたり2~100万円と解除方法により異なりますが、セキュリティ対策にもなります。

サービス残業やカラ残業を防止する場合、オフィスワークであればPC用のツールを使用することで解決できます。
しかし、PCを使用しないサービス業や現場仕事だと、ドアに施錠する入退室管理を導入して、退勤時刻と退出時刻の差異を取得する必要があります。
PCに搭載されている機能であれば無料で使えるものがありますが、有料だと導入費用の相場は入退室管理システムの種類によって全く異なります。
まずはどのような方法が自社に適しているのかを明確にし、予算と照らし合わせて検討しましょう。

 

入退室管理を導入する前に注意すべきポイント

注意喚起するビジネスマン

入退室管理の導入は、設置時にはドア工事と設置費用、撤去時には原状回復費用がかかるため、借りているオフィスなのであれば設置できるか確認が必要です。
さらに、入退室管理の種類の1つである、暗証番号でドアを開閉するシステムだと、入退室者まで特定できない点に注意してください。
また、来客時やセキュリティカードを忘れた・紛失時には、ドアを開けられなくなってしまうので、あらかじめルール化しておくことも大切です。
入退室管理には、さまざまな種類があるため、注意点も含めて適切なものを選びましょう。

 

ドアの工事は設置費用と原状回復費用がかかる

入退室管理には、ドアに設置されているリーダーを用いて個人を特定し、ドアの開閉を行うものがあります。
この場合、設置時にはリーダーの設置を行うための工事費用がかかり、撤退時には原状回復費用がかかってきます。
もし、オフィスが賃貸であった場合、勝手に工事はできないので、管理会社へ問い合わせを行った後に設置しなければなりません。
そのため、撤退時には原状回復が必要となり、初期費用とランニングコスト以外にも費用がかかることを念頭に置いておきましょう。

 

暗証番号だけでは入退室者を特定できない

暗証番号を入力するタイプの入退室管理では、個人を特定する機能が搭載されていないため、入退室者を管理できません。
暗証番号を使った入退室管理システムは、ドアにテンキーが設置されており、あらかじめ設定しておいた番号を入力することでドアが開閉します。
そのため、入退室管理を行う目的が正確な勤怠管理を行うものであれば、暗証番号タイプは候補から除外するほうがよいでしょう。
ただし、暗証番号による入退室は、セキュリティ対策にはなるので、低コストでドア工事をせず導入したい方におすすめです。

 

来客時やセキュリティカード紛失時の対応も検討する

来客時やセキュリティカードを忘れてしまった・紛失したというときにはドアの解錠ができないため、事前に対応しなければなりません。
来客時であれば、いつ誰が入室したのかを別途管理表に記載するといった、対策が必要となります。
セキュリティカードを忘れた際にも同様に、忘れないように注意するとともに、いつ入室して退室したのかを管理表で管理しておきましょう。
このとき、監視カメラがあれば手書きでの管理だけでなく信憑性も増すので、一緒に導入するのもおすすめです。

また、もしセキュリティカードを紛失してしまったのであれば、第三者による悪用を防ぐために速やかに利用停止しなければなりません。
紛失時には、すぐに上長や管理者に連絡するようにルールを決めておき、直ぐに対処できるように対策しておきましょう。

 

目的に合わせた入退室管理を導入しよう

勤怠管理の正確性を高めるのであれば、入退室管理を合わせて導入するのがおすすめです。
入退室管理には、労働時間を正確に把握できるものから、サービス残業やカラ残業を防止できるものといった、目的に合わせて機能がことなります。
労働時間を正確に把握するのであれば、ドアに設置するタイプの入退室管理がおすすめで、残業時間を把握するならPCのログ管理が最適です。
このように、目的に応じて必要となる入退室管理の機能は異なるため、まずはなぜ導入したいのかを明確にしておきましょう。

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柏倉優

Webマーケティングの経験を経て、2021年6月に株式会社ITCSへ入社。 記事の企画・執筆・デザイン・アクセス解析まで幅広く担当。 皆さんに「それが知りたかった!」と思ってもらえるような情報を提供できるよう、日々勉強しています。

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