公開日:2023/08/25
最終更新日:2023/11/02

デジタルワークフローとは?紙からデジタルへ移行する5ステップ

デジタルワークフローとは

デジタルワークフローとは、これまで紙で行っていたワークフローをデジタル化することを指しています。
稟議書や請求書など、紙で作成していた文書をデジタル化することで、業務効率化が進み、決済までの時間が短縮できるのがメリットです。
経済産業省も、業務をシステムやデジタルで対応できるように変更していくDX化の推進を行っているため、企業としては早めに対策しておくことが重要となります。
本記事では、デジタルワークフローとは何か、メリットからワークフローをデジタル化させるためのステップ、注意点まで詳しく解説していきます。

デジタルワークフローとは

デジタルワークフローとは、ワークフローをシステムにより管理することを指しており、手作業による業務をデジタル化させて効率的に進めます。
具体的には、紙で管理していたワークフローをシステム上で作成・申請・承認作業を行えるようにすることをデジタルワークフローといいます。
手作業ではなくシステムによりワークフローを作成・管理することで、無駄な手間を大幅に省くことが可能です。
現代では、多くの企業で人手不足が加速しているため、手作業ではなく業務をデジタル化させ、効率化を進めるためにデジタルワークフローが重宝され始めました。

 

既存のワークフローをデジタル化する方法

押印とノートパソコン

既存のワークフローをデジタル化する方法はいくつかありますが、まずはどの文書をデジタル化させるか選択していきます。
次に、紙によるワークフローとは異なり、デジタル化する際には承認ルートを固定で設定する必要があるため、文書ごとの承認ルートを作成します。
また、デジタルワークフローの基本的な設定が完了した後は、従業員が利用する際に困らないようマニュアルを作成し配布しましょう。
ここからは、紙で対応していた既存のワークフローをデジタル化させるための方法について解説していきます。

 

デジタル化する文書を選択する

  • 稟議書
  • 請求書
  • 残業申請書

デジタル化できる文書はいくつかあり、多くの企業では稟議書や請求書、残業申請書などの文書からシステム化を進めています。
理由としては、稟議書は請求書、残業申請書は、日常的に多く使われる文書のため、いち早くデジタル化して効率化を進めていくためです。
ただし、企業によってどの文書が一番使われているのかは異なるので、いきなり全てを電子化するのではなく、まずは一部の文書からデジタル化しましょう。

また、残業申請書の場合、申請書の作成から承認だけで終わりではなく、その後、勤怠管理システムなどに残業時間の登録が必要となります。
手作業の業務をデジタル化し、DX化を進めるのであれば、デジタルワークフローと勤怠管理システムの連携も必要となるので、電子化する文書は慎重に決めましょう。

 

電子化したワークフローの流れを設定する

デジタルワークフローでは、承認経路の設定が必要となるため、どういったワークフローの流れが必要なのか設定していきます。
稟議書だけでも、購買稟議や契約稟議、接待交際稟議など、会社によってさまざまな種類があります。
さらに、高額な金額になる場合には、通常の承認ルートにプラスし、部長や社長から承認をもらうといった柔軟な対応も必要です。
部署によっても承認者は異なるので、デジタルワークフローに設定しやすいような承認経路を検討・設定しましょう。

 

従業員が利用しやすいようにマニュアル化する

これまで手作業によるワークフローを行っていた会社では、いきなりデジタル化すると従業員が混乱してしまいます。
そこで、どのようにデジタルワークフローを利用するのか、しっかりとマニュアル化して従業員に配布するようにしましょう。

また、手作業よりもデジタルワークフローの方が、慣れてしまえば利用しやすいといったメリットも同時に伝えることが大切です。
このとき、承認ルートは、わざわざ申請者が設定せずにシステム上で自動で割り振られるため、難しい操作は必要ないなど、具体的なメリットを伝えるようにします。
できるだけ分かりやすいマニュアルを作成しつつ、従業員にデジタル化する目的を理解してもらい、慣れてもらうまでしっかりとサポートを行いましょう。

 

ワークフローをデジタル化させるメリット

DXを掲げるビジネスマン

ワークフローをデジタル化させることで、申請者や承認者の手間を省けるようになり、決裁までの時間も短縮されるので業務効率化を進められます。
さらに、日常的によく扱われる稟議書や請求書をペーパーレス化することで、働き方改革の促進にもつながります。

また、紙よりもデータの活用がしやすくなり、過去にどのような申請・承認を行ったのかも、システム上で検索して探せるのもメリットです。
ほかには、デジタルワークフローでは、製品にもよりますが自分のIDでログインし承認作業を行うため、不正な承認をされる心配もありません。
内部統制の強化としても、デジタルワークフローは大きなメリットがあるので、組織全体の改善としても導入をおすすめします。

 

業務効率化が進む

デジタルワークフローでは、入力規則の設定や必須項目を設けたり、データベース上に取引先情報を登録し、申請書作成画面が呼び出せるように設定したりできます。
申請者としては、あらかじめ入力に関する設定がされていることで、誤入力を防ぎ、時間短縮で申請書を作成できるようになります。

さらに、スマートフォンからも利用できるため、出張先からすぐに見積書を作成して上長に承認をもらうことも可能です。
紙でのワークフローよりも、デジタルワークフローの方がスピーディーに申請書の作成から承認ができるため、業務効率化の向上に役立ちます。

 

決裁までの時間を短縮できる

これまで紙でワークフローの管理を行っていた会社では、上長が出張に行っていた場合、1週間以上も承認作業が滞ってしまうことは珍しくありません。
しかし、デジタルワークフローにより、場所を問わずに承認作業が行えるため、出張先からも作業をできるのがメリットです。

さらに、現在誰が承認作業を行っているのかもシステム上で確認でき、滞っている場合には催促しやすくなります。
製品によっては、一定期間承認作業が行われなければ、アラート通知を出すこともできるので、承認忘れの防止にも繋がります。
決裁までの時間を短縮することで、取引先を待たせることもなく、ビジネスチャンスを取りこぼす可能性が減るのは大きなメリットでしょう。

 

ペーパーレス化で働き方改革を促進

紙による作業は、従業員の手作業により成り立っているため、ペーパーレス化が進めば業務効率化が実現されます
紙よりもシステムでデータを管理できれば、探す手間や保管にかかる能力も削減でき、従業員の負担を大幅に削減することが可能です。

また、ペーパーレス化が進むことで、働き方改革を促進でき、業務効率化だけでなく業務に関するコストを抑えられるようになります。
紙によるワークフローだと、用紙代・インク代・コピー機代といった、さまざまなコストがかかります。
さらに、郵送やFAXで送信を行うとなると、通信費がかかるので、ペーパーレス化が進むことでさまざまなコストを抑えられるのがメリットです。

 

紙よりもデータの活用がしやすくなる

稟議書や請求書、見積書では、過去に同じような案件で作成していることもあり、参考にできれば申請書作成や承認作業の時短につながります。
そのため、紙よりもデータにてワークフローを管理できれば、システム上で検索すればすぐに欲しい文書を閲覧できるようになります。

紙の場合、いつ申請した文書なのか、そもそも稟議書か請求書かもわからないとなると、膨大な紙の中から探すことになり、非常に手間です。
そのため、紙よりもデータであれば、検索にて探しやすくなり、過去のデータを参照する際にはコピペにて複製も可能なため、時短で申請書の作成から承認ができます。

 

内部統制を強化できる

紙によるワークフローの場合、本人以外が承認できてしまうといった、セキュリティの懸念があります。
また、承認されるまで上長のデスクの上に山積みになっているといった管理だと、盗難や不正な改ざんがしやすい環境になっています。

デジタルワークフローでは、製品にもよりますがクラウドサービスの場合は従業員ごとに割り当てられているID・Passwordにてログインを行い操作します。
その結果、盗難のリスクもなく、不正な承認や内容の改ざんが難しいため、内部統制を強化する目的としてもメリットが大きいです。

 

デジタルワークフローでのDX化とは

ロボットの手とDX

デジタルワークフローを導入することで、企業内の業務がシステム化されるようになり、DX化が進みます。
そもそもDXとは、会社内の多くの業務をデジタル化し、業務効率化を進めていくことで、まずはワークフローから対応する企業も多くなっています。
経済産業省も、2018年にはDX推進ガイドラインを公開しており、企業としてもできるだけ早く対応していかなければなりません。

ただ、現状としてはまだDX化を進めている企業は極めて少なく、対応していない企業だと2025年には大きな経営損失が起きるといわれています。
まずは、文書の電子化から進めている企業も多くあるため、何から始めていいかわからないのであれば、ワークフローのデジタル化を進めるのがおすすめです。

 

2018年には経済産業省がDX推進ガイドラインを公開

経済産業省は、少子化による人手不足を解消するために、多くの企業で手作業の業務を減らし、システム化していくことを進めています
さらに、企業内のシステムを構築した人材が定年退職し始める時期でもあり、システムの新調や属人化を解消しなければ、業務が滞ってしまう可能性があります。

また、経済産業省が発表しているDXレポートでは、DX化を進めていない企業では、2025年から2030年の間に、最大12兆円/年の経済損失が起きると発表しています。
2025年にはIT人材が約43万人不足すると予想されているため、企業としては早急にDX化を進めていかなければなりません。

経済産業省:「DXレポート」

 

紙からデジタルのワークフローへ移行する5ステップ

ステップアップするビジネスマン

紙からデジタルワークフローへ移行するためには、まずは自社の課題を洗い出し、どのようにデジタル化していけばいいのか検討します。
その後、課題にあったシステムを検討し、自社の課題解決につながる製品の無料トライアルやデモを利用して導入を進めます。
この時、紙でのワークフローのルールはデジタルワークフローに適用できないことが多いため、デジタル化に向けてルール変更もしなければなりません。
また、デジタルワークフローでは、承認ルートの設定が必要となるため、文書ごとや金額に合わせた承認ルートを設定していきます。

 

①自社にはどのような課題があるか洗い出す

紙からデジタルワークフローへ移行する際には、自社の課題にあった製品を探す必要があるため、まずは課題の洗い出しから行いましょう。
上長の出張が多く、承認作業が滞りやすい・承認ルートが複雑でミスが起こりやすいなど、ワークフローの課題点は企業によってさまざまです。
そのため、実際に紙によるワークフローをよく扱っていた従業員にアンケートを取ることで、現場の声も参考にしつつ課題点を洗い出せます。

 

②無料トライアルを利用する

デジタルワークフローを選ぶ際には、課題に合わせて自社に適した製品を選ぶことが大切なので、無料トライアルを利用してみましょう。
理由としては、デジタルワークフローは多くの製品が販売されているため、有名だから値段が安いからと、選んでしまっては思ったように扱えないことがあります。
また、今まで紙で対応してきた従業員だと、いきなりデジタル化してしまうと抵抗感を感じることがあります。
そのため、使い勝手がよく、従業員にも受け入れてもらいやすいかを判断するためにも、従業員にも無料トライアルを利用してもらい判断しましょう。

 

③デジタル化する文書を決める

紙でのワークフローといっても、稟議書や請求書、見積書などさまざまな文書があるため、どの文書からデジタル化させるか決めていきます。
いきなり全ての文書をデジタル化させようとすると、時間と労力がかかってしまうため、まずはよく使うものからデジタル化するのがおすすめです。
そのため、最初は稟議書や経費精算といった、日々よく扱う文書からデジタル化していくようにします。
その後、慣れてきたタイミングで、徐々に社内の文書をデジタル化させ、業務効率化を進めて行きましょう。

 

④紙でのルールをデジタル化に向けて変更

紙によるワークフローのルールだと、デジタル化した際には適用されないことが多いため、システムの導入に合わせてルールを変更しなければなりません。
たとえば、文書の保管にしてもサーバー内で管理することになるので、ファイル形式やバックアップを取る方法など、決める必要があります。

また、デジタルワークフローで扱う文書は、機密情報が含まれることもあるため、セキュリティに関するルールも設定をしていきます。
誰でも過去の申請書が閲覧できるような環境だと、セキュリティ対策ができていないため、文書ごとに閲覧制限を設けるといったルールも検討しましょう。

 

⑤承認ルートの設定

デジタルワークフローを導入した際には、文書ごとや金額に応じた承認ルートを設定していきます。
稟議書の場合は、上長に承認をもらうケースが多くありますが、経費精算書だと上長だけでなく経理担当者からの承認も必要です。

また、高額の取引を行う際の稟議書の場合、上長だけでなく社長といった役員から承認を得ることもあります。
自社で設定したい承認ルートが、デジタルワークフローでも利用できるのか、事前に確認し、スムーズに利用できるように対策しましょう。

 

デジタルワークフローを導入するときに注意すべきポイント

下がったやじるしとビジネスマン

デジタルワークフローの導入時に注意するポイントは、既存のフォーマットをデジタル化しても使えるのか確認することです。
製品によっては、エクセルで作成された文書フォーマットをそのままデジタル化できるものもあるため、自社の課題に合っているのか事前に確認しましょう。
ただし、機能性よりも使いやすさを重視しなければ、実際に扱う従業員から不満の声が出てしまうので、慎重に検討しなければなりません。

また、承認作業の際に押印が必要であれば、電子印鑑機能が搭載されたものが必要となります。
ここからは、デジタルワークフローを導入する時に注意すべきポイントについて解説していきます。

 

既存フォーマットをデジタル化しても使えるか確認

デジタルワークフローを導入する際には、既存のフォーマットを、そのままデジタル化して活用できるのかどうか、確認するようにしましょう。
1からフォーマットを作成するとなると手間がかかるため、雛形が用意されている製品だと安心して利用開始できます。
製品によっては、エクセルで作られたフォーマットをそのまま読み込み、フォントから枠線までそのままデジタル化できるものがあります。
ある程度フォーマットの修正が必要とはなりますが、極力既存のフォーマットをそのまま使えるようなシステムを選ぶようにしましょう。

 

機能性よりも使いやすさを重視

豊富な機能を搭載しているデジタルワークフローだと、使い勝手がいいように思いがちですが、かえって扱いにくい場合があります。
具体的には、機能が多すぎて、どこのボタンを押せばいいのか分かりづらい・設定できる箇所が多すぎて導入に時間がかかりすぎるなどが起こりがちです。

従業員が使いやすい製品でなければ、不満の声が上がりやすく、紙によるワークフローの方が簡単だと思われてしまいます。
ある程度の充実した機能は必要ですが、自社にとって必要な機能だけを揃えている製品で、シンプルに利用できるものを選ぶ方が良いでしょう。

 

電子印鑑機能が搭載されたものを選ぶ

紙で運用していた際に、承認者の項目に印鑑を押して承認完了としていたのであれば、電子印鑑機能が搭載されたものを選びましょう
突然、ワークフローがデジタル化した場合、紙のときの運用とイメージが大きく違えば違和感を覚える人も多くなります。

しかし、デジタルでも紙の印鑑を再現できるような電子印鑑機能のあるワークフローシステムなら、紙でのワークフローと大きな相違なく利用できます。
従業員としても、運用するのに抵抗感を持ちにくくなるため、電子印鑑機能が搭載されているかどうかは必ず確認しましょう。

 

デジタルワークフローを実現するならシステムを導入しよう

デジタルワークフローを導入することで、紙による作業よりも業務効率化が進み、場所を問わずに申請から承認作業が行えます。
さらに、ペーパーレス化が進むことで、働き方改革も促進され、企業としてはコストを抑えながら業務改善を行えるのがメリットです。
しかし、これまで使っていた申請書のフォーマットが使えなければ、新しく作成する、もしくは雛形を使用することになるので、注意が必要です。
もし、自社のルールに合わせたフォーマットを使いたい・電子印鑑機能が搭載されている製品のほうがいいとこだわりがあるのであれば、事前にしっかりと確認しましょう。

弊社の提供するOZO3ワークフローでは、エクセルで作成されたフォーマットをそのままシステムに読み込める機能を搭載しております。
フォントから枠線など全てがシステム化されるため、従業員の方は従来のフォーマットのままデジタルワークフローを利用できます。
また、電子印鑑機能も搭載されており、承認時に電子印にて押印いただけるので、紙でのワークフローと同じような使用感でデジタル化が可能です。
無料トライアルをご用意しておりますので、まずは実際の操作感を試してみたい方はぜひご相談ください。

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柏倉優

Webマーケティングの経験を経て、2021年6月に株式会社ITCSへ入社。 記事の企画・執筆・デザイン・アクセス解析まで幅広く担当。 皆さんに「それが知りたかった!」と思ってもらえるような情報を提供できるよう、日々勉強しています。

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監修者

吉田薫

資格:元全日本能率連盟認定マネジメント・コンサルタント
銀行員、コンサルティングファーム、会計系FASなどを経て2021年株式会社ITCS入社、経営企画室長。
これまでに戦略、業務改善、財務、情報システム、M&A、リスクマネジメント、CSRなど幅広い業務・テーマに従事。
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執筆者

柏倉優

資格:Webライティング能力検定 1級
クラウドシステムやソフトウェアの記事作成を中心としてライター歴7年・編集長歴5年の経験を積んだ後、2021年6月に株式会社ITCSへ入社。
現在はManageブログの編集長として、人事・総務・経理の業務を効率化するためのお役立ち情報を発信しています。